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近況報告・6月

  • 執筆者の写真: yumicher
    yumicher
  • 2019年7月7日
  • 読了時間: 5分

更新日:2019年7月8日

日本から帰ってきた直後から、PQ(プラハ・カドリエンナーレ)の準備でした。

PQとは、1967年からプラハで始まった、4年に1回開催されている国際舞台美術展です。

舞台美術のオリンピックみたいに呼ぶ人もいます。


思い起こせば、私にとっての初めてのPQは2007年。

まだ、チェコに住む前ことでした。


2007年にDAMU(チェコ国立芸術アカデミー劇場学部)に入学試験を受けるために渡チェコした際、ペトル・マターセク教授より、PQ会場で企画されている人形劇家の沢則之氏と、人形遣い・黒谷都さんと人形作家・渡辺数憲氏のワークショップのお手伝いをしなさいとの課題を頂き、受験を終えて一旦日本に帰り、また6月に1か月間渡チェコしたのでした。舞台経験の全くなかった私が、人形劇の世界で、日本を代表される方々のアシスタントをできることに激しく緊張したのを覚えています。


2011年より、JATDT日本舞台美術家協会さんから、現地コーディネーター・通訳として働かせて頂き、今回で3回目のPQになりました。


(写真:日本ブース・みんなで升の準備)


今回のPQは6月6日から16日までの10日間、プラハ7区のVýstaviště(産業宮殿)にて開催されました。79ヵ国、800名以上の舞台美術家、600名以上のパフォーマーが参加されたようです。


準備段階では、荷物ロストしたり、遅延したり、会場(学生さんブースの)が暑過ぎたり、今回は本当に色々なトラブルがありました。それでも、凄く演劇現場的な物の考え方ですが、「終わり良ければ全てよし」といいますか、始まってしまえば、準備の大変さを吹っ飛ばすほど楽しい時間でした。


日本ブースは、参加型。立版古や自然素材を用いて、升の中に各々の舞台を制作していくもの。作った升アートが、日本のブースになっていくといった面白いアプローチでした。用意された素材を使い、空間を作るセンスは、さすが世界各国から集結した舞台美術家の方々達!とにかく面白かったです。


(写真:参加者さんの作品の中でも一際お気に入りだったもの)




『舞台美術』をどうやって、展示するのか?



本来、劇場などの空間におさまって、演者と観客が入り、パフォーマンスという時間の中で活きてくる空間美術を、写真や模型などで展示をしても、なかなかに伝わるものではありません。近年では、映像で見せたり、インスタレーションをしながら見せたり、今年はバーチャル・リアリティなどで表現する国も結構ありましたが、毎回どうやって「舞台美術」を展示するか、アプローチにどの国も悩んでいるのを感じます。


日本のブースは、升とハサミとのりとテープと紙と木や糸石などの素材。

中心には、日本曼荼羅を感じさせる映像作品。ループする宇宙観。


(写真:どんどん升模型が増えていくのも、インスタレーション的で面白かったです)


日本ブースのコンセプトは「捧げる」というものだったのですが、ワークショップ参加者の作品で日本のブースが出来上がっていくこと。ワークショップの内容は、立版古や自然素材を用いて、升の中に各々の舞台を制作していくこと。浮世絵の線画による絵を三次元化ー模型にすること。限られた素材の中でオリジナルのアイデアを即興的だし、空間構成を考えることなど、本来舞台美術家が立ち返るべき原点な気がします。


面白いアプローチだと思いました。賞は残念ながら取れませんでしたが、コンセプト的には十分強いものを感じました。本当に色々と勉強になりました。JATDT、日本舞台美術家協会の皆様方、お疲れ様でした!



とにかく6月は、プラハで沢山の日本の方々に会いました。


(写真:チェリスト・四家卯大さん、クラリネット・ミハルさん、バイオリニスト(実験的に琴も弾いてくれていました)・アニチュカさん)



もう、カウント出来ませんが…60名以上?は会ったのではと思います。それぐらいPQ関連のイベントで、日本の方だけでも沢山の方がチェコに来られていました。パフォーマンスでは、以前、ジャズ・アート仙川や、金沢しいのき迎賓館での、乃波木さんとの展覧会時などで大変お世話になった、チェリストの四家卯大ご夫妻がいらっしゃいました!チェコ人のジャズ・ミュージシャンとのセッションでは、本当に贅沢すぎるコンサートでした。



(写真:スーホの作品、マサリク駅)



ピョンヤン・オリンピックでは、開会式に人形制作した親友スーホを初め、DAMU時代の同級生達や普段会わない関係者の方々などなど、毎日沢山の人に会いました。




PQの締めは、日本を代表する舞台美術家・堀尾幸男氏の在チェコ日本国大使館・広報文化センターでの講演の通訳をしたことでした。西洋の絵画に見られる「光と影」による空間の捉え方、遠近法と日本の浮世絵などに見られる線画による空間の捉え方の違いから始まる、本当に興味深いお話でした。PQ日本ブースにリンクしていたお話しも面白かったです!


(写真:講演後、 嶋﨑駐チェコ共和国日本国大使と堀尾さんと記念撮影)






PQに平行して、ヨルシカさんの「心に穴があいた」のミュージックビデオのために、人形を1体制作させて頂きました。顔は、最初からエフェクトがかかると聞いていたのですが、映らないとわかっていても、顔を作らずにはいられないのが人形作家。タイトルにある「心に穴があいた」少女の表情を想像しながら制作しました。顔を公表することはありませんが、ぜひ、想像して頂けたらです!撮影は、スウェーデンのゴットランド島。海のシーンが私は好きです。チェックしてみてください!




また、6月の終わりには、大阪より、ちりめん作家の堀結美子さんと、日本人なのに外国人に間違われてしまう華道家の矢田青幸さんがプラハに来られました。さらには、3日日間、結美子さんとパリへも行けました。5年ぶりのパリでした。束の間の休息を一緒に過ごせ、英気を養うことができました!



6月は、引きこもりの私にしてはかなり珍しく、「とにかく沢山の人に会った!!」月でした。色々なプロジェクトがグネグネと動いていますので、この夏はとにかく制作に励まないとです。徐々に詳細を書けたらと思っています。

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© 2019 Yumi Hayashi

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