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『くるみ割り人形』ー①

更新日:2019年11月28日

11月6日より12月25日まで、阪急梅田本店にて、ドラマティック・ホリデーショウ『くるみ割り人形』のショーウィンドウ展示が始まっています。日本一大きいと言われているウィンドウは七面もあり、それに伴い、この夏・秋は人形制作に追われ、計104体制作しました。



先日プラハに帰ってきたのですが、日本滞在中も空いた時間にパソコンをあけては、「今日こそは、ブログ書ききるぞ!」と書いてはいたのですが、一向に、全くもって、まとまらない現象に陥っていました。それもこれも、『くるみ割り人形』は6月からスタートしたプロジェクトなのですが、随時書きたいと思っていたことが沢山あり、いざ書き出しだすと全くもって書き終わらない感じになってしまうのです。ただでさえ、文章を書くのが苦手な上に遅い、長くなる傾向なのですが、今回は長編すぎて、もはやブログではない世界に突入してしまいました…。解決策として、項目別に分けて書けたらなと。


初めは「ウィンドウへの挑戦」について書けたらなと思います。


この仕事のお話しを頂いたのは、ちょうど6月のPQ(4年に1回、プラハで開催される舞台美術のオリンピック)開催中でした。デザイナーのBATON小島さんから1通のメールを頂いたことから始まりました『7面のデザインにおけるアーティスト提案/コンペ参加の機会を頂き、林さんを提案できないか…』的な内容のメールが送られてきたことから始まります。


私自身、初めてウィンドウを挑戦したのは2006年。26歳の頃でした。



制作期間が2006年で、展示が2007年の冬でした。今回の『くるみ割り人形』もですが、冬に縁があるのも何か嬉しいなと。みずほ銀行銀座中央支店のウィンドウで展示できるという公募型のもので、審査員が福田繁雄氏だったのが嬉しかったのを覚えています。


公募や賞などほぼ挑戦したことないタイプなのですが、2007年からチェコへの留学が決まっていて、日本での活動の区切りをつける展示がしたいと感じ、個展という形ではなく、出来れば不特定多数の人に見てもらいたいなと考えてのウィンドウ公募展でした。


考えてみると、今までの人生の中の制作の中で一番苦しかったのがこの「みずほ」での展示だった気がします。経験がない中での「挑戦」が諸々のキャパ越えをしていたのです。


大学院を卒業してから、どうやれば『作家』になれるのか、あぐねいていた時期で、「とにかく制作するしかない!」と、朝から朝まで制作を続けているような感じで、闇雲に走っていた時代でした。そんな時代に、一区切りつけようとするものなら、余計に肩に力が入りすぎて、周りも自分も見えずに爆走していた感じでした…。なので、搬入前ー最後の方は、ほとんど寝てないままからの3日間徹夜して、3時間ぐらい寝て、さらに2日間徹夜したりして…。そのせいで、脳みそがカタカタカタと痙攣しだすという事態になりました。「あ、危険だな」と。今まで、色々と修羅場を越えてきましたが、「脳みそカタカタ」は、後にも先にもこの時だけでした。


そんな私の持つ負のパワー全開から生まれた作品「Road」ですが、今でもこの作品は、あの時、あの時代でなければ作れなかったなと気に入っています。(作品コンセプトが、大勢の人が向かっていく方向の道からそれていく老人と犬。その事を気づいている、見ているのは少年だけといった世界観でした。とにかく、暗かったんです…)


(写真右端にいるのが、当時の私。今でもですが実際、暗いんです…笑)


チェコへ行って12年。


新たに人形劇を学んだ自分自身が、ウィンドウに挑戦できるチャンス!とあって、「やってみたいです!」と二つ返事で返したのが始まりでした。


今回、チェコー日本という、なかなかに遠い距離の間で、これだけの規模の仕事ができたのは、一重に最初に私自身を見つけ出して声をかけてくれたBATON小島靖史さんのおかげです。面識があったわけではなく最初頂いた文章のイメージから、年配の方かなと感じたのですが、蓋をあけてみたら同級生でビックリ!みたいな始まりでした。


79年生まれの女性アーテイストは沢山周りにいるのですが、男性アーテイストが全くいない感じで、今まで同級生の男性と仕事をしたことがなかったので、最初は慣れない感じで不思議な感覚ではありました。が、プロジェクトを経て言える事は、同じ年でよかったなと。


緊張感はありましたが、変な意味で気を使わずにコミュニケーションが取ることができました。(率直なご意見、叱咤激励、有難いお説教、時には、同級生だからできるであろう、爽やかすぎるほどのストレートな圧、威圧!などなど…)


40歳になって“戦友”と呼べる人に会えたのも、山あり谷ありな、私にとっては人生で一番大きな規模での仕事を共に取り組めたからかなと思います。


『くるみ割り人形』では、本当にマルチに働いてくださいました。


日本での打ち合わせを初め、スケジュール管理、デザイン等、諸々困った時の相談相手、バックアップ&フォロー、制作現場では張り子から色塗り等々。今回、かなりの短期間で、104体の人形を仕上げるために、制作のみに集中できる環境作り等々…。


さらには、私自身、物凄く感覚的に制作するタイプでして、自分の頭の中ではペース配分はできている(!?)のですが、“段取り“や”スケジュール“という細かな話はとても苦手でして…。調整・コントロールが全くできない、人の話をちゃんと聞いてない、聞かない?人間の調整…。全くもって人ごとですが、大変だっただろうなと…。


今回の阪急の『くるみ割り人形』では、私の名前しか表記されていませんが、今回の作品は小島さんなくしてはできませんでした。




普段はバリバリ、デザイナーとして活躍されている小島さん。


実は、なんと『くるみ割り人形』とコラボしています。阪急うめだ本店前、ウィンドウがある通り・コンコースで「カンパーナの贈り物」というタイトルでイルミネーションをデザインされています。


今の時期に『くるみ割り人形』を見に行かれましたら、照明も落とされて、クリスマスの雰囲気が一気に深まっています!私が大阪にいた時期はまだなかったので、見てみたかったなあと。


(小島さん、お写真も、ドーーン!)


また、阪急うめだ本店のウェブページでは、『くるみ割り人形』のあらすじや、メイキングビデオ等も見られます。ぜひ、ご覧頂けたらです!!!


最初の『くるみ割り人形』のブログ、一章目(何章書く気なのでしょうか…)は、ウィンドウ・スタート&小島さんでした。

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