Happy New Year 2021!!!
今年は、コロナ下でチェコでは夜間外出が9時以降禁止となり、年越しの瞬間を家で迎えました。チェコに移住して14年たちますが、初めての家年越しです!
毎年プラハの街は、年越しの瞬間に街中で花火が打ちあがります。個人の花火で、街中に打ち上げ花火が、何千なのか、何万発なのか…。その風景といったら圧巻なもので、皆様好き勝手に花火を打ち上げているので、結構危険なところもありますが、一見の価値があると思います。
なので、毎年外での瞬間を感じながら、花火を見ながら、寒さを感じながら、なんとなく背筋を正しながら、今年も頑張るぞ!的な抱負を強く思ったりするので、今年はなんとなく年明け感が緩かったなと。
写真は、私の東京造形時代の卒業制作です。2001年に制作し2002年の1月に卒業展覧会でした。今から20年前に制作した!!!!のだなと思うと、月日の流れを強く感じます。
大学時代、ザ・ベストテンのセットデザインをしていた三原康博氏に出会い、初めて『空間デザインー舞台美術デザイン』というものを肌で感じる切っ掛けを得ました。
三原氏は、当時人形しか作っていなかった私に、毎回「林さんの作る人形達は、どんな世界で生きているの?」といった類の質問を絶えず投げかけてきてくれました。そういった言葉は、頭の中に深く深く入り込んで広がっていって。
三原氏のおかけで学生時代は様々なプロジェクトに関わらせて頂きました。
日本の舞台美術の土台を作り上げた伊藤熹朔氏の道具長を整理したり(茶箱につまった道具長を地下倉庫から出すところから始まりました…。)確か3600枚だったか…、1枚づつ写真をとって分類して。
大量の本当に細密に描かれた道具長が、全く演劇に無知だった私自身でも、そこからどんな話がうまれるのか想像したくなるような。人がいない空間に人と物語を感じる。そんな感動を強く感じたのを覚えています。
また、テレビ美術家協会の展覧会のポスター等を制作したり、その過程で、沢山のセット・舞台美術デザイナーの方々会ったり、話を聞いたり、模型やデザインを見せて頂いたりと、大学在学時代は、グラフィック科に在籍していたので凄く刺激に感じていたと思います。
それでも当時は、「凄い世界があるんだな」といった、遠い世界を垣間見せて頂いているような、まさか、その後、自分が舞台美術を勉強し、人形劇の舞台美術家という仕事をするとは、微塵とも想像にだにしていませんでした。
大学卒業制作は、そんな三原氏からある日「面白いから聞いてみたら?」とい頂いたCD「CATS」が始まりでした。
当時は演劇をほぼ見たことがなく、広告等でミュージカル・キャッツがどういうものは知っていましたが、全くどんな話なのかわからない中、CDを聞いたのでした。
音楽は、本当に面白く一瞬で魅了されたといいますか、1日中エンドレス・リピートして聞いていました。さらには1曲づつ、登場人物の猫達の歌になっていて、その歌詞を聞いているといったいどんな猫か想像していく、世界観を想像していく…といった。
「ザ・ベストテン」という音楽番組のセットデザインをされていた三原氏は、よく「音楽から世界をイメージをする」と言っていました。そんな言葉は、現在に至るまでの私にも大きく影響していてます。私にとっては、「CATS」は最初の教科書だったのかもしれません。
毎日CATSの世界観を想像しながらスケッチを描き続けている時、「9.11」がありました。
目の前に起こる信じがたい光景へのショックと、そんな状況に全くもって無力で何もできない自分が、CATS達にひたすら希望の願いを託して制作したのが卒業制作でした。
(2011年には期間限定で、キャッツシアターに展示して頂きました。搬入日前日がちょうど9月11日で、9.11の追悼式がやっていて個人的ですが運命的なものを感じました。)
改めて考えてみると、三原氏の思惑通りだったのか、毎回興味深い種を、道しるべを示されては、今日の『自分』になっていったような気がします。チェコへ行ってみたらよいと最初にアドバイスをしてくだったのも、三原氏でした。
新年あけると、何となくノスタルジックな気分になりがちで過去を振り返り、改めて、こうありたいなと考える切っ掛けになります。
特筆して書くような抱負というものはないですが、20年前、「CATS」を制作していた頃にもっていた無謀さを含めた勢いや、好奇心、挑戦する気持ちを忘れずにこれからも制作できたらなと思っています。
早くコロナが収まりますように。
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