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『くるみ割り人形』2021

更新日:2021年12月13日


11月17日から12月25日まで、阪急うめだ本店にてクリスマス・ショウウィンドー『くるみ割り人形』がご覧頂けます。


今年で3年目の挑戦になりました。


3年間このような大きなプロジェクトに関わらせて頂けたこと事態、実をいうとあまり実感がなく、凄くアッという間の出来事だったような、物凄く長い長い道のりだったような。


ウィンドウが完成してからもバタバタして、脳を整理しきれていないのでブログを書くのがとても遅れてしまいました。先日、プラハに帰りまして、遅ればせながら書いています。


あらためて何から書けばいいかなというところですが、今年とても嬉しいなと思ったことは、『くるみ割り人形』の制作過程の取材によりドキュメント番組になったことです。


渦中にいる時は、自身の中での情報過多といいますか、多くの事を同時進行で進まないとな感じでして、時には、とても即興的な思考回路で制作しています。そういう事もあり、ドワ―――っと駆け抜けた後の記憶はとても断片的な事も多々あるので、改めてドキュメントを見直なおす事ができ、「あ!こんな感じだったな!」みたいになりました。


コロナ禍で大阪に行けない方々にも是非ご覧いただけましたらです。


以前のブログでも書いていますが、『くるみ割り人形』のプロジェクトは、私自身もいったい何名の方が関わっているかわかりません。100名以上なのでは、という話もあります。


ドキュメントでは、そんなところを垣間見て頂けるのも良かったなと思っています。本当に多くの方々が、阪急うめだ本店装飾部 アートディレクター亀山和廣さんのデザインを軸に、「ウィンドウを見て笑顔になってもらいたい!!!!」をモチベーションに全力で臨んでいます。沢山の方々に見て頂けたらと願ってやみません。


(ウィンドウ完成後のパシャリ)



今年の私のチームのご紹介ができましたらです。


 

『くるみ割り人形2021』


アートディレクター:小島靖史


テクニカルアドバイス:Jaroslav Doležal (ヤロスラフ・ドレジャル)

衣装縫製: Gabriera Budíkova(ガブリエラ・ブデイーコヴァー),


特別協力:浦部裕光(彫刻家)、橋爪宏治(からくり作家)、 関沙織(造形作家)


アシスタント: 宇佐美季那、前島香里、佐久間優季、早坂純子

 


(ドレジャルさん宅・アトリエにて)


毎年、ドレジャルさんには人形のシステム等の相談や細かな木工作業の補助などで手伝ってもらっています。特に人形のシステムは答えがないため、相談することで頭をいつもクリアーにしてもらっています。


(プラハ・アトリエ、ガブリエラさん)


毎年本当にお世話になっているガブリエラさん。

ガブリエラさんの凄いところは、仕事の速さもですが、実際にまだ形になっていない大きなもの(今回でいいますとジンジャーマダムなど)の衣装もばっちり制作してくれるところです。チェコでコロナが落ち着いたタイミングで制作を初めて頂いたのですが、ガブリエラさん自身、とても人気な縫製家なので劇場での仕事も重なりに重なった中、かなり無理した形で駆け抜けて頂きました。


(プラハ・アトリエ「首とったぞー!」的な…)


プラハアトリエのシーン。


今年は、3年目のアシスタントになるキナティーこと、宇佐美季那さんと、アシスタント募集で応募してくれたマエティーこと、前島香里さんが、『くるみ割り人形』の制作面において全過程一緒に走り抜けてくれました。



以前、ある教授から「人は自分が教える側になった際、自分が受けた教育の形が出てしまう」という言葉を聞いたことがありました。


私の恩師ペトル・マターセク氏は、まず「漠然とした課題を提起し(時には無茶ぶりをし)、本人がその課題(無茶ぶり)をどう飲み込んで動いていくか」の自発性を尊重するタイプの先生でした。


マンツーマンの授業だったので、先生の話をただ受講するという関係性ではなく、各々に与えられた「課題(問題)」をどう解決していくか教授と議論すること実践していくこと、生徒個々によって導く答えを教授自身が取り込みながら、流れを作っていかれる感じでした。


よくわからない前ぶりを書いてしまいましたのが…、私自身アシスタントの方々への指示も、全く恩師マターセク氏と同じスタイルといいますか…。アトリエシステムを初めて3年目になりますが、1から何か教える、具体的な指示を出すというよりは、漠然とやるべき事を伝えた後は、「放置」をしてしまう…。ついつい、各々ができることは何なのかということをフワリと観察してしまう…。ある意味とても、難しい現場だったかもしれません。


そんな私の「放置」システムの中でも、アシスタントの方々の中で着々と”ルールのようなもの”ができていき、3年目となった今回は立派なチームになっていて…!!3年間という「時間」は、凄いなと改めて感じる年でした。


そんなシステムを支えてくれたのが、3年目のエースのキナティーこと宇佐美季那さんでした。また、今回、新しく入ったルーキーのマエティーこと、前島香里さんも着々コツコツ寡黙に仕事をするタイプで、飲み込みも早く頑張ってくれました。


基本的に、アトリエに入ってもらう方々の条件は、『忍耐力がある事』が最重要なのですが、みな「ドМなんじゃないかなー?」と思うほど気骨のある方々ばかりが揃っています。


また、プラハ・アトリエでは、昨年に引き続き制作補助だけでなく、みんなのお昼ご飯をズン子さんこと、早坂純子さんが準備してくれました。皆の胃袋キャッチし、女子力の高いズン子さんの意見は絶対で、中学1年生から同級生で同じ部活に所属していた彼女こそが、プラハ・アトリエの真のボスです。


(横浜アトリエ、ある日の夕飯風景)


横浜アトリエでは、キナティー、マエティーは1か月ちかく、ムードメーカーなコロ助こと佐久間優季さんは1週間強、泊まり込みで制作してくれました。若い彼女達との共同生活は、制作的には楽なものではありませんでしが楽しい日々だったと思います。


今年は3年間の中でも一番”ストレス”が少なかった年でもありました。


反省すべきところは多々ありますし、全くもって余裕があるペースで制作できたとは言い切れませんでしたが、そもそも”ストレス”に慣れてきたことや、制作のプロセスが段々とわかってきたことも”ストレス”の軽減になったのかもしれません。また、若い彼女達が必死についてきてくれている姿も励みになったのかもしれません。


ちなみに横浜アトリエでは、昔、料理部だったというキナティーが美味しい料理を毎日作ってくれました。


(女子力の高い強力助っ人・浦部さん)


女子率の高い私のチームの中で、男手はとても貴重なもので、今年かなりお世話になりましたベッティーさんこと彫刻家の浦部裕光さん。


ベッティーさんは、学年、学部は違いますが、東京造形時代から知っている彫刻家さんです。動物などを中心に物凄い彫刻を彫られている方です。まさか、手伝って頂けるとは、、な世界でした。私自身、”彫る”ことについては独学でして、作業中、ベッティーさんの彫り方を見てとても勉強になりました。




(横浜アトリエにて打ち合わせもあったり…)



(京都に移動して…)

(京都工房にて、制作制作…)




(パネル人形達ー橋爪さん)


今年は、浦部さんとともに、造形時代の同級生・からくり作家の橋爪宏治さんにもご協力頂きました。パネル人形やハンペルマンなど繊細に糸鋸カットが必要な人形の作業や、からくり機構の作業などをやって頂きました。



自分では出来ない作業をかつての同級生達に手伝ってもらうこと、学生時代から20年(?)ぐらい経って、コラボできる事は素直に嬉しい事です。



(ジンジャーマン ー 関さん)


同じく造形時代の同級生、メロさんこと関沙織さん。今年はメロさんの仕事の都合上、昨年のように沢山現場には入って頂くことはできませんでしたが、今年新しく制作しましたジンジャーマン(小)のデコレーションをして頂きました。



(コジコさんこと、小島氏)


そして、最後に御礼を言わなければいけないのが、これまた同級生のコジコさんこと、ウィンドウ・ディスプレイデザイナー小島靖史さんです。


改めて何を具体的に御礼を書いていいものかな感じですが、3年間、『くるみ割り人形』のプロジェクトを私が走り抜けることができたのも、コジコさんの存在なしには成し得なかったと思っています。


『くるみ割り人形』プロジェクトにおいて私が制作しました人形の大半について、相談やアイデア出しを一緒にやって頂いてます。特に今年は、”新しい人形の形に挑戦する”というコンセプトのもと、沢山のアイデア一緒に考えてくれました。


私がストレスを感じず、細かな部分を考えずに、目の前のことに全力で立ち向かえるのは、私自身が想像できない部分での調整を一手に引き受けてくれているコジコさんの存在があるからだと思います。さらには、一昨年からな話になりますが、小島家の皆様総出で大変お世話になっています。



12月25日まであと2週間をきりました。

多くの方々の”笑顔の切っ掛け”なれば、本望です。



また、大阪まで行けないという方へ:

『くるみ割り人形』を制作するにあたっての私自身のモチベーションを、プラハ国立劇場にてプリンスパルで活躍するバレエダンサー藤井彩嘉とお話しさせて頂きました。


(2分17秒です!是非ご覧くださいませ!)


 

小まめにブログを書いていないので長い長いお知らせになりますが、日本滞在中は『くるみ割り人形』プロジェクトの他にも、第3回熱海未来音楽祭『よだかの星は燃えつづけ』に、Divadlo 501・チャークさんこと、谷口直子さんと参加しました。


また、東京と大阪、堺市で開催されました「チェコフェステバル2021」に参加しました。今年は、自身のブランドPetao-Designでの初参加でした!同フェステバルでも、チャークさんこと、谷口直子さんの人形劇も上演されました。


そして、NHKラジオ深夜便にも出演させて頂きました。ラジオパーソナリティの石澤典夫さんからお声をかけて頂いたのは数年前で…、やっと実現しましたラジオ出演でした。


日本滞在時、チェコ出発前に最後に『くるみ割り人形』を見ようと大阪へ寄った際、ウィンドウを見ているところ婦人に「林さんですか?」と、声をかけられました。


「私の母が林さんが出演されたラジオを聞き、興味をもって色々調べたみたいで、あ、今日母の82歳の誕生日なのですが、いつもは私が母の住む名古屋に行ってるのですが、今回は林さんのウィンドウが見たいと大阪まで来てくれたんです。」


そんな事を聞きながら振り返ると、本当に素敵な笑顔の母娘が立っておられて。


一緒に記念撮影をしている際、今日誕生日のお母さまが、


「82歳も生きていると素敵なことがあるわね」


なんて、お礼を言って頂き、いやいや、それは私の方です!なんて嬉しすぎる出会いが、私の今年のくるみ割り人形の締めくくりでした。